★★★『奇跡がくれた数式』のあらすじと見どころ。"数学"という新しい視点をくれた

3行で『奇跡がくれた数式』

●文化の異なる2人の数学者が、研究を通して友情を育む物語。 ●不遇に悩むラマヌジャンと、周囲の人々の葛藤がわかる良い演技。 ●数学を勉強しなおそうと思った。

原作は、ロバート・カニ―ゲルの本『無限の天才―夭逝の数学者・ラマヌジャン』。映画の公開に合わせて新装版が発売されています。

 

“インドの魔術師”こと、シュリ二ヴァーサ・ラマヌジャンの生涯を描いた作品。

天才的なひらめきで数々の数式を発見したことからアインシュタインニュートン以上の天才と呼ばれ、インド国内では大抵の人が知っている存在だそうです。

https://www.youtube.com/watch?v=e4UQrjlS6w8

あらすじ

妻を養うためにインドのチェンナイで仕事を探していたラマンヌジャンは、雇い主の好意もありイギリスで数学研究者となるチャンスを手に入れる。 その手引きをしたのが、ケンブリッジ大学のゴッドフレイ・ハロルド・ハーディ教授。   ハーディは、「数式は証明しなければ研究成果として認められない」という常識を理解できないラマヌジャンに困惑しながらも、ラマヌジャンの功績を世に広めるために奔走します。 ラマヌジャンは、「必ず呼び寄せる」と約束した妻との関係、慣れないイギリスの文化、戦争などで精神的・身体的に疲弊しながらも、ハーディの出す課題をこなしていく。

個人的な見どころ

数式を通してやり取りしてるラマンヌジャンの関係を見ていて、「数学はただ“そうあるもの”。数学は、その中で見つかった法則の積み重ねが数学なんだ。」と感じました。

ラマヌジャンが妻やハーディと関わる中に、学校教育では教わることのない数学の面白さみたいなものが垣間見えます。

そういう、数学に対する接し方が描かれているのが見どころ。

出来れば、今数学が苦手で悩んでいる人には観てみてほしい。

 

僕は高校数学でつまずいて文系に進み、数学を理解することは半ばあきらめていたんですが、この映画を観て興味が生まれ、勉強しなおそうと思えました。

勢いに任せて参考書も購入。

「数とは何か?」という基礎の基礎~ベクトルまで網羅している本で勉強中です。

妻とのやり取り

物語の序盤、ラマヌジャンの妻のセリフに「あなたは人間より数学が好きそうね」というのがあります。

それを受けたラマヌジャンは、夫として謝ったうえでこう言います。

全ての物事にはパターンがある 光の色や水の反射も 数学におけるパターンは信じられない形を見せる

この時ラマヌジャンは、一握りの砂をパラパラ落としながら話しています。

その様子を見ているだけだと何のことかわからないんですが、セリフと合わせてみると「物理学と同じで、数学には人間には変えられない独自のパターンがある」という意図が感じられます。

 

この映画では「ラマヌジャンτ関数」などの難しい話は出てきません。

ラマヌジャンτ関数[temp id=5] ラマヌジャンは、現在ラマヌジャンのデルタと呼ばれている次の保型形式を計算した。
{\displaystyle \Delta =x\prod _{n=1}^{\infty }(1-x^{n})^{24}=\sum _{n=1}^{\infty }\tau (n)x^{n}}
彼は x のべきの係数 {\displaystyle \tau (n)} が乗法的な関数であることを見抜き、さらにそこから
{\displaystyle \sum _{n=1}^{\infty }\tau (n)n^{-s}}
を考えて、そのオイラー積表示
{\displaystyle \prod _{p}{\frac {1}{1-\tau (p)p^{-s}+p^{11-2s}}}}
を与えた(正確には、「証明」していないが)。このオイラー積には p−2s という ps の2次の因子が現れており、このようなオイラー積はラマヌジャンによって初めて発見されたものである(「2次のゼータ」の発見)。 [temp id=6]

”公約数”という言葉を知っていれば十分。

それより。数学が好きな人が“何を好きなのか”を知りたい人向けの映画だと感じます。