自分を大事に出来ない人へ。”悩み”の恐ろしいところは、辛いことではなく囚われること。
大抵の人は、自分の長所よりも短所の方が早く、たくさん思い浮かべることができると思います。
僕も同じ。
僕の悪い癖の一つは、悩み始めると反芻から抜け出せなくなってしまうことです。
気分のいい時は運動することで抑えられているのだけれど、それだけではどうにもできないくらい気持ちが沈んでしまうこともあります。
そんな時思い出しているのは、たいていの場合楽しくなかった学生時代のこと。ふとした時に昔のことが頭を巡り、悪い考えに支配されしまいます。
自らかさぶたを掻き毟っていることには気付いていません。
いくら悩んでも過去の出来事に結論は出ず、何をどうしても自分が悪いというところに落ち着き、心を病んでいきます。
これが、悩みの感情に囚われてしまっている状態です。
辛さは一瞬、囚われればずっと。
こんな実験があります。
抑うつの傾向がある学生を2グループに分け、一方人は認知療法のワークブック(自分の気持ちや考えを明確に認識する)、もう一方には勉強の課題をやってもらった実験があります。 その直後と4か月後に気分の状態を測定したところ、思考のループになりやすい人は、認知朗報のワークブックをやったときの方が抑うつが悪化することが分かりました。 ガイ・ウィンチ『自分で心を手当てする方法』より引用
これは、仮に認知療法の一環としてという理由であっても、自分の辛い経験に向き合った人の方が暗い気持ちになり易くなったという研究結果です。
元になった研究は「Why does social exclusion hurt? The relationship between social and physical pain.」。
この結果からもわかるように、どういう理由であれ、暗い気分になる話を思い出すことは危険を伴います。
不用意に近づくほど深く悩み、囚われてしまう恐れがあるからです。
過去を思い出して反省することは良いのですが、それによって自分を保つことができないのであれば、それは悩みの暴走です。
暗く、悩む時間が増えれば増えるほど、それがその人の”普通”になります。すると当然、人間関係も上手くいかなくなっていくでしょう。
そうして人との関りを断ってしまうと、連れ戻すことのできる人は次第にいなくなってしまいます。
そうならない為には、意識すべきことがあります。
悩みの反芻から逃れるために
反芻は本来、自分の失敗を忘れないために行われます。
問題は、そこで受けるストレスの量が大きすぎるということ。受け止める必要のないストレスにまで、正面から向き合ってしまっていることです。
重要なのは、思い出さないことではなくて無害化すること。
まずは視点を変えるところから始めましょう。
主観→他者視点
自分の主観を思い出すのではなくて、他人が見ていたその時の状況を思い出すところから始めてみましょう。
この練習には瞑想も効果的です。
https://life-is.club/amazon-mindfulness/
深く悩んでしまう状況を思い出したら、そのたびに他人の目を通して回想します。すると徐々に、そこで起こっていたことを受け入れられるようになっていきます。
他者視点→学び
どんな出来事も、必ずそこから得られる学びがあります。
そこに目が向かないのは、主観が入っているから。”責められるべき”自分の立場で観ているから、どうしても自分を責めて暗い気分になってしまいます。
他者視点を手に入れることができれば、余計な苦しみを感じることなく、何が起こったのかを把握できるようになります。
そうすれば、冷静に、複数の可能性を検討できるようになります。
今はそう考えることが出来なくても、ワイドショーのように考える余裕は生まれてきます。
学び→実行
多くの場合、人が後悔するのは誰かを傷つけていた時です。
過去の出来事を教訓として捉えられる冷静さが戻ってきたら、今の状況を確認してみましょう。
もしかしたら人に強く当たりすぎているかもしれません。
相談を求められた人に必要なのは、自分が役に立ったという実感です。あなたが誰かに悩みを相談していたなら、「ありがとう」と声をかけるようにしましょう。
参考元の紹介
この記事は、ガイ・ウィンチ著『NYの人気セラピストが教える自分で自分の心を手当する方法』を参考にしました。
僕はこの本のおかげで、自分を冷静に見返すことが出来ました。
大まかな内容は本人のTEDからも見ることができますが、心に傷がつく仕組みと、傷をどのようにケアすればいいのかがまとめられています。
具体的には次の6つのトピックについて。
- 受け入れてもらえない悲しみ
- 孤独感
- 大切なものを失った喪失感
- 自分を許せない罪悪感
- 悩みに囚われてしまった状態
- 何も上手くいかない挫折
https://www.youtube.com/watch?v=F2hc2FLOdhI&vl=ja
自分の失敗や欠点ばかり考え始め、「どうだったらな」「どうでなければよかったのに」自分自身に話しかけるのです。そんなにひどい物言いでないとしても、皆こういうことをしています。 面白いことにそれは、自尊心が既に傷ついているからなんです。 なぜ僕達はそれをもっと傷つけようとするのでしょうか? 身体の傷ならわざと悪化させはしないでしょう。 腕を切って「ああ 分かってるよナイフでどこまで深く切れるか見てみるんだ」と言いはしないでしょう。 しかし僕達は、心の傷に対しては 常にそんなことをしているのです。 なぜかって? 感情の「衛生」をおろそかにしているからです。