アダルトチルドレンは”甘え”というより”無知”なだけ。だから変われる。

アダルトチルドレンは“甘え”ではなく“無知”

「自分はアダルトチルドレンかもしれない」と思っている人は、心の中でよく言い訳をしてしまいます。

  • 人と付き合うのが下手なのは…
  • 1人でいると不安なのは…
  • 今言い出せないのは…

でも実際のところ、そういうことが出来ないわけじゃありません。周りの人がやっているから、あり得ることだというのは分かります。ただ過去の経験から、実在しない夢物語だとしか思うことができません。

 

だから、外側だけ見れば“甘え”でも“無知”と言った方が的確です。

無知と言うと鼻につく言い方になってしまうのは申し訳ないのだけれど、実際、他の人と比べて経験していないことは多いです。

例えば、アダルトチルドレンの中にはかなりの甘え下手がいます。そういう人は、人に甘えることで得られたはずの“安心して身を任せる”という経験は持っていないはず。

これが、ここで言う“無知”です。

アダルトチルドレンの定義と“無知”

アダルトチルドレンの定義は次の通り。

アダルトチルドレン(英:Adult Children)とは、
  • 親がアルコール依存症の家庭で育って成人した人。Adult Children of Alcoholics(ACOA、ACA)の略語で、こちらが元々の意味である。アメリカでアルコール依存症治療との関わりの中で生まれた言葉である
  • 親による虐待や家族の不仲、感情抑圧などの見られる機能不全家族で育ち、生きづらさを抱えた人。Adult Children of Dysfunctional family(ACOD)。「機能不全家庭で育ったことにより、成人してもなおトラウマ(外傷体験)を持つ」という考え方、現象、または人のこと
Wikipediaアダルトチルドレン」より引用

今一般的に使われているのは下の定義。

「機能不全家庭で育ったことによって、成人してもトラウマを持つ」人のこと。

これ自体は診断名でもないし、ましてや病名でもありません。後天的に手に入れた性格の偏り方を表す概念です。

 

アダルトチルドレンの出自をゲームに例えるなら、Lv.1で初めて訪れる街が既に魔王に占領されていたようなもの。

街中どこにいても迂闊に行動すれば即死するので、“村人と話してイベントを発生し、ボスを倒せば報酬が得られる”という概念自体が得られなくなります。当然イベントは起こらず、レベルが上がることもありません。

 

もはやゲームが違います。

これじゃあドラクエじゃなくて青鬼。ACの人は安全が保障されてこなかったから、他の人と比べて圧倒的に経験値が少ないんです。

「レベルを上げて物理で殴る」が最適解の人生というゲームにおいて、これは最悪の状態です。

 

勘違いしてはいけないのは、危険から身を守るために行動しないこと自体は、とても合理的で正しい判断だということ。

 

でも、成長してからそれを家庭の外で出してしまうと、常識が食い違って摩擦が起こります。安全が確保された環境で行動してきた人から見れば、身を守ることはただの甘え(すべきことは全て他の人にやってもらってきた)としか思えないからです。

 

実際はそう望んだのではなくて、偏った環境に適応するために全てを置いてきてしまっただけ。

このように“自分が何に適応してきたのか”を理解できないと摩擦は続き、「なぜみんなわかってくれないの?!!」とストレスを抱えることになってしまいます。

 

“行動すること”が善とされるこの世界では、人生のスタートラインが人によって全く違います。

これは誰もが理解して、受け止めておいた方が良い事実です。

“ACとしての無知”から脱出するために必要なもの

知らないことで悩んでいるのなら、いろんなことを知らなければなりません。

よく「自信をつけるためには成功体験が必要だ。」とか言われるけれど、本当に必要なのものは課題です。本当に自信を得られる課題を立てないと、成功体験どころか行動することすらできません。

無理ゲーを押しつけられた僕たちに必要なのは、今までの遅れをチャラにできる、高価な報酬が得られるボーナスステージです。

 

立てる課題は何でもいいのだけれど、個人的にお勧めしたいのは「自分の子供をACにしない確信が生まれる程度に、ACについての知識を付けること。」

基準は人それぞれだし難しく思える課題だけれど、続けることで確実に自信につながります。

“自分が何に適応してきたのか”に気付ける

表面だけしか見えていないと、虐待されたり、放置された経験のある人のエピソードの方が印象的に思えます。話の悲惨さに比例して深く傷ついているように思えるのだけれど、それと同じくらい“どう育ってきたか”は重要です。

 

虐待されたり、放置されたりして強い衝撃を受けた人は強い怒りで振り切るチャンスがあるけれど、ジワジワ傷つけられてきた人の傷は化膿して腐っていきます。

そう考えると、微妙なところでずっと燻っている人の方がチャンスに乏しく、捉え方によっては悲惨です。自分に無関心だから、自分の傷に気が付かないままに動いて傷を増やし続けてしまいます。まさに生き地獄。

 

そこから抜け出すためにはまず自力で気付けるようにならないといけないので、まずは勉強して知識を付けましょう。

そのための一つの基準が、「自分の子供がACにならない程度」。

つまり、ACでない人が持つ常識の感覚を手に入れることです。

 

本を読むことでも、メンタルの安定した人と関わることでも構いません。行動して自分と他人の常識のズレを知ることで、自分がどうすればいいのかが分かるようになっていきます。

 

ちなみに、安全な環境で育ってきた人は、そういうことを考える必要性がありません。独学で何とかしようとするので、そこが弱点。僕たちは自分についてちゃんと学ぶことで、彼らを出し抜くことが出来るようになります。

感情で思い出せる目標である

この目標の原型は「親の過ちを繰り返さないこと」でした。

それがまわりまわって「子どもをACにしない手段に近づくこと」になりました。

 

ACというけれど、これってそもそも専門家が僕たちを呼ぶために付けた曖昧な呼び名です。僕たちが自称するものじゃないし、出来ない理由にするものでもありません。

僕たちにとって問題なのは、そう呼ばれることじゃなくて未だに親の偏った常識に引きずられていること。だから僕たちは、親の支配から逃れる力を身につけないといけません。

 

でも、行動し続けるのはとても難しいことです。諦めて挫折してしまうようなことは沢山あります。

そんな時に、前を向き直すきっかけになるのが強い感情です。

 

やっぱり一生「自分も親みたいな人間なんだ」って思い続けるのは嫌じゃないですか。

 

Linkin Parkの『Nunb』を聞くたびにそう言いたくなります。変えられるなら、今からでも悪い流れを断ち切ってしまいたい。そう思わせてくれる曲です。

And I know I may end up failing too わかってる 俺も最後には失敗するんだろう But I know you were just like me でもわかる あんたも俺と同じように With someone disappointed in you 自分に失望した人と一緒に暮らしてきたんだ

https://www.youtube.com/watch?v=y2AJbYg1kBk

自己を嫌う気持ちを他人に向けることが出来るようになれば、それは前に進む力になります。

アダルトチルドレンは“無知”を減らして得を得る

前述のとおり、僕たちには「自分を見直す確かな理由」があります。

それを突き通すことができれば、普通に育ってきた人とは違う目線で物事を見られるようになります。過去に失ったものが大きいほど、他の人が思いつかない独創性を身につけることが出来ます。

https://www.huffingtonpost.jp/2016/01/06/benefit-of-going-through-hard-times_n_8926700.html

心に傷を負った後、どう変化するのか 苦しみを乗り越えた後、生き方を大きく改善するようになるのはなぜだろう? それに、成長する人がいる一方で心的外傷に押しつぶされる人がいるのはなぜだろう? テデスキとカルホーンは、PTGが起きる過程を説明したモデルを作っている。それによると、人間は自分が作った信条や思い込みに沿って生きている。しかし、心に大きなダメージを与えるような衝撃的な出来事を経験すると、その信条や思い込みが覆される。 それはまるで地震のようなプロセスだ。心に受けた傷が、世界観、信条、アイデンティティといった人間の基盤を成す価値観を揺るがし、粉々に崩してしまう。普段の感覚はもはや通用せず、自分自身も自分の世界も再構築しなければならない。信条や思い込みを捨て、ゼロからスタートすることになる。 その再構築の過程は、地震に襲われた都市の再建に似ている。基礎から破壊された街は、創造力を使いながら再構築しなければならない。 人間の場合、深刻な病気を経験したり、愛する人を失ったりした後、その出来事を猛烈に処理する。つまりその出来事を何度も考え続けることになる。 それは、悲しみや嘆き、怒り、心配といった強い感情が伴うプロセスだ。この感情と共に成長が起きる。強い感情を抱えながら逆境に適応し、心のダメージとネガティブな感情を理解することで成長するのだ。 再構築は、非常に困難な過程だ。自分が大切にしてきた目標やアイデンティティ、思い込みを手放す必要がある。そうする一方で、新しい目標や考え方、物事の意味などを築き上げる。とても苦しい作業だが、新しい人生のドアを開けることになるだろう。 心に受けたダメージを乗り越えると、自分が強い人間であると感じるようになる。今までなかった強さと知恵を持っていることに気付く。内なる自分により正直になり、本当に求めていた生き方が見えてくるかもしれない。

僕たちがしなければならないのは、いま背負っている沢山のゴミを処分することじゃありません。一つ一つ鑑定して、宝になる物がないか調べることです。

そのために、知識が必要です。

 

https://life-is.club/no-escape/